2010年9月16日木曜日

透析用留置カテーテル管理

診療報酬上の特定保険医療材料の名称では
「緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル」
ブラッドアクセスは死語だと言いながら未だに使っている

当院での挿入部位の管理のお話(カフ付きではない方)

①刺入部および周囲をポピドンヨードにて消毒
②透明フィルムドレッシング(パットなし)で完全に密閉するように貼付
③刺入部が汚染などの異常がない限り定期的な消毒はしない

・・・としています。

「カテーテル挿入時にきちんと消毒され、
清潔が保たれた状態で密閉し外気から遮断されていれば、
頻回に刺入部を開けて消毒するより感染の機会が減る」

・・・というのが基本的な考え方

透明ドレッシングを使用するのは、
刺入部の異常を目視で確認しやすくするため(以降「消毒密閉方式」)


しかし、患者さん自身の体動で密閉が保たれず
頻回に再消毒 - ドレッシング交換をすることも少なくない

看護師の中には、この"密閉"の重要性を理解していないため、
非透析日に剥がれたり汚染などして再消毒しても、
ドレッシングを隙間だらけの状態で貼る輩も少なくない
実際には完璧に密閉させようとすると結構手間がかかることも事実

確実に密閉を維持できず、汚染の機会が増えるなら別な方法を考えてみようと、
担当医を交えて検討をしてみた

文献や書籍を読みあさっていると「水道水を用いた洗浄法」なるものを複数発見
周期は毎日だったり透析毎だったりと様々だが、
要は流水により汚染を洗い流し、清潔なガーゼできれいに拭き取り、
湿潤させないために通気性が良く、
刺入部からの浸出液を確認できる吸収パット付きの粘着絆創膏
(一般的に多い製品名は「シルキーポアドレッシング」でしょうか)
を貼付するというもの


水道水を使うのは、塩素を含んでいるからとのこと
しかし、最近まで透析用水の水質管理のことばかり考えていたせいか、
水道水って汚染されているイメージがあり、効果の程はイマイチ半信半疑
塩素の消毒効果に期待するよりも、流水による洗浄がメインだろうから、
当院では生理食塩液で試してみよう!ということに・・・(以降「洗浄法」)

今週、担当医が長期休暇のため、復帰後に試行する予定だった

この担当医の留守中にカテーテルを鼠径に留置している入院患者が、
カテーテル周辺を便で汚染したらしく、
病棟看護師で刺入部を洗浄 - 消毒してくれていた

翌日、透析室に来てビックリ!
ご丁寧にカテの刺入部~接続部まで
一枚の大きな透明ドレッシングを貼ってきているじゃありませんか!
どうやって血液回路接続すれって言うんだ・・・!
やむを得ず一度剥がすことに

全体をドレッシングで密閉しているということは、
禁忌とされているカテの分岐部や接続部なんかも消毒液を使ったのではないか?
ポピドンヨードでの固着が見当たらなかったので
使ったのはアルコール系かと思われる
念のためカテ部材の接合部などにクラックが生じていないか確認

病棟曰く「オムツなので頻繁に便汚染するかも」とのこと
担当医から留守前に「汚染予防のためきちんと"密閉"して」と指示があったらしい

「消毒して密閉しても汚染の機会が多いなら・・・」と、
汚染した際に病棟の看護師でも簡便にできるだろうと思い、
フライングして"洗浄法"を試してみた
下手にカテ本体に消毒液使われて破損したら大変だし・・・

洗浄液は生食とし、あとは前述の通り
湿潤させないようにパット付きシルキーポアを貼付し、
汚染がなければ、とりあえずは透析の際に処置をするということとして帰室させた

翌透析となる本日、来室した患者のカテを見て再度ビックリ!
また、カテ全部をドレッシングで覆っている
しかも刺入部周辺がおもいっきり湿潤しているではないか
病棟に確認すると「便汚染の予防」という回答が、
よく話を聞くと、夜勤帯など人員が少ない時間帯に、
再消毒(洗浄)になると対応しきれないと・・・

開けてみると刺入部より浸出液が
膿瘍ではなく透明だったため湿潤した際のものか?

仕方なく元の消毒密閉方式へ戻すことに
念入りに消毒し、
今度は刺入部のドレッシングが剥がれ難いよう、
ドレッシング周囲に粘着テープで補強
接続部~分岐部はネスプの包装を被せ汚染し難いようにした

この件を病棟に申し送りした透析の看護師が
「汚染する可能性が0じゃないんなら全体をドレッシングで覆わせてくれ」と
病棟看護師が言っていると・・・
理由は前述したとおり、対応しきれないと

簡単に済むようにと考えた技もやらないまま全否定
しかも、透析の接続の際に再度、密閉を解くことによるリスクや
マニュアル化までした手技の意味も無視した発言に、
久々に大激怒したオレ
クドクドと理由を説明して、もう一度申し送ってもらうと、
「便汚染したら透析室に連れてくるからこちらで対応して!」
と捨てゼリフを言われたそうな

今の方法が果たして正しいか?否か?は賛否両論あると思う
しかし、リスクを軽減するために
ガイドラインや文献などを参考に試行錯誤して考え出された手法であり、
基本的な考え方は間違っていないと思う
マニュアル化までしている訳だし、
あらゆる場面に対応して臨機応変に応用を利かすのは致し方ないと思うが、
「忙しい」を理由にして全てを無視したような発言は許せなかった

後半は長々と愚痴になってしまいました
明日以降も同じようなことがあれば師長とガチンコ対決してくることとします

(洗浄法の実際についてはこちら

4 件のコメント:

  1. うちの病院での管理も①~③と似た感じです。

    透明ドレッシング材の中で感染徴候があっても、
    看て見ぬふりをしている場合が多いので、
    私は気付いた時に消毒しています。
    留置した医師も放置なので、何とも言い難いですが。

    水道水や生理食塩水での洗浄は、
    最近では褥瘡や創傷でもその傾向にありますね。
    カテテール刺入部にも使えるとは驚きです。

    基本的に、透析用のカテーテルを鼠径に留置することはしないですが、内頚に留置できない理由があるのでしょうから…。
    病棟の看護師は、カテーテルの管理をすることは仕事の一つだとは思います。
    患者さんのために看護できるといいと思いますね。
    確かに、管理しきれないこともたまにはあるとは思いますが、
    結局は感染しなきゃいいんですよね。

    他部署との連携はなかなか難しいです…。

    勉強になりました。

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  2. ミトさん

    頸部挿入は、過去に血管穿孔し死亡したという事故報告を受け、うちの担当医が避けている…というのが本当の理由です(鎖骨下だったかもしれませんが…)。
    ま、うちの場合は寝たきりの認知症がほとんどなので、首だとイジラれやすいからというのもあります。

    今回、私が憤慨しているのは、透析を行うためのカテーテルの管理を、透析を無視して病棟の都合のみを押し付けて行おうとしているということです。

    血液回路と接続できないようにドレッシングを被せてきたこと(接続の際は当然刺入部まで剥がさなくてはならず開放されてしまうことを承知のうえ)、
    カテ接続部(本来は不潔)~刺入部がドレッシング内で繋がっていること、
    ドレッシング内に一緒に密閉されていたということは清潔にするために当然のことながら禁忌とされているカテーテル消毒を行ったと見るべきでカテーテルの破損の危険性があったこと 等々

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  3. すたんどばいME2010年9月18日 9:19

    おはようございます。初めてのコメント…かな?よろしくです(^^)

    水道水は透析の世界では汚染させていると思いがちですが、細菌学や公衆衛生学では「水道水は流水中は無菌」というのが常識らしいです。私も驚いたのですが、最近知り合いがその筋の教授になりそういう話を聞きました。

    いろいろ話をしましたが透析液清浄化の話題やガイドラインについては、その世界から見ると結構いびつに見えるところもあるらしいです。

    看護師さんの都合が最優先。私の家でも嫁の都合が最優先です。(関係ないか…(^^;)お気持ちお察しします。

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  4. すたんどばいME さん

    私の方はちょくちょくお邪魔させていただいておりました。

    >「水道水は流水中は無菌」
    我々も口から入れているわけですから、基本的には汚い訳がないですよね。
    注射用水などと同じレベルで考えていたらキリがないですね。

    >看護師さんの都合が最優先。

    最近の傾向ですかね…世の中、女>男という力関係が定着しているように思われます。
    元々、医療現場は女(看護師)の世界といっても過言ではありませんでしたから、それが当たり前と思っておりました。
    医師ですら頭があがらないことがあるようですから(苦笑)

    >私の家でも嫁の都合が最優先です。
    お互い、家に帰っても気が休まる暇はありませんネ(涙)

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