たまには心電図のお勉強でも

2016年4月6日水曜日

お仕事 お勉強

外来透析クリニック勤めをしていると、
安定した患者さんばかりなんで、
心電図モニタを使用する機会って滅多にない

一応、SPO2も測れる送信機付きで
購入はしてあるんだけどネ
使ったのは一度きり
院長は、すぐに12誘導で確認したい質なので、
出番がめっきり少ない...高い買い物だな(苦笑)

しかし、たまの出番のために、
常々、波形の見方を勉強しておかないとネ

オレなんか、ペースメーカー業務から離れて、およそ4年、
カテなどの循環器業務から離れて、もう15年も経つから、
正確に波形を読めるのか、すでに自信なし...(汗)

最近は、臨床工学技士のECGマスターさんのブログ
人生が豊かになる心電図読破プロジェクト」で、
お勉強させてもらってます(笑)

...そんな中、こんな↓記事を見つけた

連載: 医師の知らない?検査の話
第13回 心電図は電子カルテの抵抗勢力?
モニターと12誘導の波形が合わない原因とは
波形記録の標準化でようやくデータ統合の入り口へ

日経メディカルオンラインより

岡村勝則(医療法人野毛会もとぶ野毛病院)

心電図の波形に興味はありませんか。あの形から何を読み取れるのか、気になりますよね。教科書的には、心電図は心筋の活動電位の伝導状態を電位と時間で表したグラフとなります。臨床検査技師になり、診療現場で心電図を取るようになると、学生時代とは別の疑問がわいて来ます。「果たして心電図はどれも同じなのだろうか?」。というのも、心電計だけでもいろいろな機種やメーカーがあり、さらには各種医療機器にも心電図モニターはあったりする。どの心電計で測っても同じ波形が再現されるのか、データに互換性はあるのか?

以前にこんなことがありました。「STが上昇しているのですぐに12誘導を取ってほしい」と夜勤明けのドクターから依頼されたため、直ちに12誘導を取りに行きました。患者さん本人は落ち着いていて、特に症状は見られませんが、モニターを付けていました。早速、患者さんに電極を取り付けて12誘導心電図を取ってみます。しかし、12誘導の波形にはST上昇が見られません。「おかしいな……」。しかし、モニターを見ると確かにSTが高い。誘導部位を変えてもモニタの方がSTが高い。なぜ?

後日、心電計のメーカー担当者に「モニターと12誘導では波形は一致しないのか?」と尋ねてみました。すると「12誘導が正しいと思います」という返事が返ってきました。よくよく調べてみると、心電図モニタと標準12誘導の心電計とでは、時定数の設定が異なっていることが分かりました。時定数はそれぞれ、心電計は3.2秒、モニタが0.24秒でした。時定数とは、「システムの目標値(1-1/e)に達するまでの時間」のことです。こう言われてもピンときませんが、簡単に言えば反応する時間です。

心電図モニターは監視装置なので、心電図に詳しい検査技師が担当することを前提にしていません。患者の状態に変化があった場合、忙しい病棟のナースが気づきやすいように、モニターでは変化に対する感度を上げようとして、心電計より時定数が短く設定されていました。そのため、波形のひずみが現れたのです。このことは他の医慮機器でも同様で、心電図は皆一緒とは限らない、ということを頭に入れておく必要があるでしょう。興味がある方には、こちらのウェブサイトが参考になります。

私が心電図を取り始めた頃は、まだ心電図は紙に記録するものでした。紙に写して、デバイダで計測するのです。しかし、20余年経った現在では、心電計はマイコン式が主流で、計測はマイコンが行います。時代の移り変わりとともに、だんだんと記録紙が使われなくなっていき、代わりにモニターで波形や計測値を見る機会が増えていきました。私の勤務先でも、基本的にはペーパーレスで、心電図は画面で見ています。ところが、心電図のデータ化はなかなか難航しています。メーカーの異なる心電計のデータは互換性がないのが普通です。各社がオリジナルの記録形式を使っているためです。

もう10年以上も前になりますが、病院内のイントラネットが整備され、心電図も汎用データ化が必要になりました。電子カルテで患者の医療記録を統合するためです。医師の診察結果、バイタルサイン、血液や尿検査のデータ、薬剤の処方記録、画像データ、看護記録など、患者のデータを統合して見えるようにしなければ、高価なシステムを導入しても宝の持ち腐れになってしまいます。CTやMRIの画像データのように、診断用のオリジナルデータはDICOM形式で保存して、参照画像は小さく圧縮できるJPEG形式で見る方法が世の中の主流になれば、どのメーカーさんもそのファイル形式に対応した製品を扱ってくれるでしょう。

しかし当時は、心電計メーカーと交渉しても簡単な解決策はなく、専用のソフトを使って専用のネットを使ってほしいと言われるだけでした。しかたなく、記録紙に取った心電図をスキャナーで読み取って画像データに変換していました。JPEG形式で保存すれば、汎用のブラウザで簡単に見られるからです。

ところが別の問題もあります。そもそも心電図は数値データをグラフで表したもので、画像ではないのです。そこで数値として心電計から取り出し、データ化できないものか、色々試してみました。心電計からアナログ波を取り出し、デジタル変換して数値化した波形を生成してみたりもしました。やはり個人の工夫では簡単には解決せず、各メーカーが独自の努力で生成していることを実感しました。

しかしながら、世の中には私のように考えている人もいるようです。医用波形記録方式を標準化してデータを共有できるようにしようと、わが国の研究者や医療機器メーカーが集まってMFER(Medical waveform Format Encoding Rules)委員会ができて、波形データの基準を作ってくれました。どの心電計のデータもMFERに変換できる機能があれば、理論的にはデータを共有できます。2007年にはISOの認証も受けています。今でもまだMFER変換機能を搭載した機種が普及しているとは言い難い状況ですが、いつでもどこでも同じ波形は実現のめどがつきました。

文章内にあった参考ウェブサイトより
時定数を変えた際の、波形の変化画像がこちら
確かに、STやT波あたりで、
パット見でわかるほど、
違いが如実に表れるね

こういうことも、しっかり覚えておかないと、
誤った判断材料になりかねない

今どきの心電図モニタは、
時定数の切り替えが可能なので
いろいろ試してみると良いかもです

古い機種が、できるか否かは、
自信をもってお答えできませんが...(汗)